※M-1グランプリ2017についてはコチラ
かまいたち優勝なるか。2017年のM-1決勝出場者のまとめと優勝予想
5年ぶりに復活したM-1グランプリ2015は敗者復活からトレンディエンジェルが優勝まで駆け上がるという、番組的には最高に盛り上げる展開で幕を下ろしました。
今年からはM-1グランプリが開催されない期間、賞レースを担っていたTHE MANZAIがネタ番組となった為、今回のM-1グランプリ2015をもって今年度の賞レースは終了となります。
果たしてトレンディエンジェルがチャンピオンに相応しかったかと言えば、予選では噛む場面やネタを飛ばす場面も見られた為、正直決勝3組に進んだ事も驚きのレベル。今田耕司の敗者復活からという煽りも含めて、M-1グランプリは昔のような緊張感のある漫才賞レースからバラエティ番組になってしまったのだと悲しくなりました。
予選9組の採点
気を取り直して個人的な予選9組の感想と採点を行ってみたいと思います。
採点基準は笑いの量、爆発力、ネタの構成を重視し、珍しさやキャラは一切加味しません。純粋に面白かったどうかで採点していきます。
メイプル超合金(796)
採点 80点
トップバッターとしては苦しい色物コンビと思えばボケの一つ一つが奇抜でありながらセンスが良く面白かったです。ツッコミの女性がデブでありながらキャラがたっておらず、ツッコミとしても少し弱かったのは残念。
トップバッターということで審査員の採点もかなり辛めになった影響を大きく受けてしまった気がするのは残念でした。
馬鹿よ貴方は(791)
採点 70点
ボケのセンスはTHE MANZAI同様に光るものを感じますが、その世界に引き込むには4分は短すぎ。賞レースで戦うのなら何か工夫が必要かと思います。
またボケのスタイルを考えるとツッコミはかなりの腕を要求されますが、少々経験不足は否めず。
予選敗退時のコメントはグッドでした。
スーパーマラドーナ(813)
採点 93点
前半の落ち武者、パンティ、奥歯といった伏線を一気に回収した展開はさすが。関西で叩き上げた渾身のネタを持ってきた結果が出たと思います。ボケの田中もツッコミの武智も最高の演技ができていたと思います。
オチはもっと面白くなったかなと思うところもありましたが、声を出してわらってしまいました。
やや中盤の「即死」や「死んでばかりやん」といった関西ノリが観客を引かせたことが影響した気もしますが、それでも増田(ますだおかだ)の87点は違うと思います。
和牛(806)
採点 70点
ねちっこいスタイルのボケを繰り返していくパターンですが爆発はなし。
メイプル超合金や馬鹿よ貴方はより審査員の採点が上になったのは登場の順番の妙だと思います。
今大会で最も印象に残りませんでした。
ジャルジャル(834)
採点 92点
言葉のニュアンスだけで積み重ねていくボケの応酬は見応えあり。後藤の「もうええわ」に帰りかける福徳のくだりは良く出来ていたと思います。ジャルジャルが古くからやっていたネタを磨き上げた至高のネタがぴったりハマった感じがしました。
順番も和牛のモヤモヤした感じがあったのもプラスになって爆発しました。
ただ最も低い点を付けた中川家の礼二に話を振った今田耕司と「話の展開に内容がなかったのがマイナスだ」と答えた礼二の『賞レースで最もやってはいけない決勝に影響を与えるネガティブコメント』がジャルジャルの決勝に大きな影響を与えてしまったのは間違いないと思います。
銀シャリ(818)
採点 90点
開始数秒で出たベルリンの壁で一気に観客の心を掴みましたね。鰻の独特のテンポと橋本の達者なツッコミがあいまった良いネタでした。審査員の採点は低すぎな気がします。醤油カーニバルはベストツッコミでしょう。
ハライチ(788)
採点 72点
今回最下位に沈んだハライチですが緊張しすぎでしたね。特に岩井は何度も噛んでいましたし、滑舌も悪かったです。
本人も思った以上に喉が渇いたのか、途中から舌で口の中を舐めるしぐさを連発していました。
やや怖すぎる残酷な描写は観客を引かせた気がしますし、終盤の「すぐやらせる女」は賞レースに向きません。
ネタのチョイスミスというより、ハライチは賞レース向きでは無い気がします。
タイムマシーン3号(816)
採点 97点
昔にようにデブを前面に押し出すのかと思えば言葉遊び×デブでありながら勢い抜群。終盤のガリキャラが出てきた瞬間は失速の香りがぷんぷんしましたが、そこからの爆発は凄かったですね。デブを滅ぼす3文字タニタは抜群でした。
これだけの笑いをとっておきながら決勝に上がれなかったのは謎です。
トレンディエンジェル(825)
採点 83点
タイムマシーン3号が作った空気の美味しいところを持って行った印象。彼らが出てきた瞬間、リラックスして観客が見ていた気がします。これは会場の空気の流れの問題で、彼らの前が馬鹿よ貴方はや和牛だったら結果は違った気がします。
他の8組はM-1グランプリという賞レースでしたが、トレンディエンジェルだけエンタの神様みたいでした。
ネタは前半にクリスマスなのかハロウィンなのか混乱したり、途中でネタがグタグタになった場面が有りましたが、それもバラエティとして評価されてしまった気がします。
予選9組感想
個人的には採点97点のタイムマシーン3号、93点のスーパーマラドーナ、92点のジャルジャルが決勝進出だったと思います。
やや後半になればなるほど採点が高くなって行く傾向が強くなっておりトレンディエンジェルは恩恵を大きく受けることになりましたし、反対にトップバッターのメイプル超合金はハンデを背負う結果となりました。
審査員が島田紳助、松本人志、オール巨人、ラサール石井、上沼恵美子、大竹まことあたりであれば前半と後半の採点基準のブレはなかった気がしますが、今回は見事に全員が同じ傾向が見受けられました。これは大いなる反省点だと思います。
決勝3組の採点
銀シャリ・トレンディエンジェル・ジャルジャルの順番となった決勝戦。
銀シャリ(2票)
採点 1位
THE MANZAIで披露したネタの進化版。ベルリンの壁を重ねたところは爆笑しました。
少し橋本がくどかった気がしたのと前半と後半で別のネタになったのが苦しかったですが、前後半笑えました。
トレンディエンジェル(6票)
採点 3位
勢いだけのエンターテイメント。これを漫才の大会で評価するかどうかは審査員次第ですが、M-1グランプリという大会を考えると評価するのは難しいところだと思いますし歴代の審査員なら票は入っていなかったでしょう。
ジャルジャル(1票)
採点 2位
予選での礼二のコメントが響いたのか観客が一気に重くなりトレンディエンジェルとは正反対の状況に。
一発目の福徳のツッコミが非常に弱かったので「あれ?ネタが違うのか?(展開を変えるのか)」と身構えた人も多かったのではないでしょうか。漫才のスタイルは変わっていないのですが、演じてのエネルギーが足らないとこうも笑いの量は減るのかという良い例になりました。
それでも繰り返しますが礼二のコメントがなければ観客はあそこまで身構えなかったと思います。
決勝3組感想
トレンディエンジェルが優勝した結果は少し不満でしたね。個人的には漫才の大会では正統派の漫才が優勝するべきだと思っていますし、ジャルジャル風に言えば幼き頃から笑いに触れている関西人は納得していない気がします。
またジャルジャルに元気の無さは予選1位のプレッシャーと礼二の呪縛があったのでしょう。予選で礼二のコメントを聞いている二人の表情のまずさが、それを物語っていると思います。
銀シャリはしっかりネタをまとめてきましたし本人も手応え抜群だったはず。
優勝を逃して暫く不満そうに、悔しそうにしている鰻の顔は忘れられません。
歴代王者が審査員を務めた今大会でしたが、課題も多く残ったと思います。
NON STYLEの石田やパンクブーブーの佐藤辺りはしっかり漫才師として採点していましたが、バラエティ色の強い採点も見受けられたのは改善の余地ありでしょう。
次回大会があるのであればオール巨人らしっかりとした漫才師による採点を期待したいと思います。