霜降り明星の粗品が見事にM-1グランプリとの2冠を達成した今年のR−1グランプリ。
何度も問題と書いてきた「お茶の間投票が廃止」されたことで、より審査も公平となり人気ではなく笑いそのものが評価されるようになったのは良かったと思います。
その一方でお笑いコンテストにあるまじき観客の立ち振る舞いは、かなり気になりましたね。
R-1の客。。。
— 松本人志 (@matsu_bouzu) 2019年3月10日
それについては最後にまとめたいと思います。
まずは各ブロックの採点と感想から。
2019R-1 Aブロックの感想採点
うーん。
松尾のネタで重い雰囲気を吹き飛ばしてくれた気がしますが、ちょっと観客の質を悪くしたのかも知れません。
お笑いコンテストというよりバラエティの雰囲気になったのは残念でした。
チョコレートプラネット 松尾
採点60
まんまIKKO。
面白いし勢いもありましたが、これはバラエティのネタ。
エンタの神様なら楽しめたと思います。
このあと観客がエンタの神様みたいになったのは松尾の責任ではないのですが、ちょっと気になる結果でした。
クロスバー直撃 前野
採点70
海苔を引っ張ると麺形のメジャーになっているというボケで悲鳴に近い「えー」があがったり、とにかく意味不明な悲鳴が多く観客に潰された印象。
大阪の観客では考えられない質の低さに、明らかにやりにくそうにしていましたね。
後半のメルカリネタを最終決戦で披露できたら完璧でしたが、笑いより悲鳴が多すぎました。
こがけん
採点80
紹介VTRの元板前という場面でも「えー」という悲鳴が出ていたので嫌な予感がしましたが、それは見事に的中。
本来のポイントではないところでの爆笑など、ネタと笑いの量が見合わなかったり「ひゅー」という歓声など、こちらも少しやりにくそうでしたね。
最後のオチはハマっていました。
セルライトスパ 大須賀
採点90
メロンパン専門店で一気に世界に持っていかれました。
Aグループの中では唯一ネタに集中出来た感もあり、ネタ環境にも恵まれたと思います。
カニのオチは面白かったです。
2019R-1 Bグループの感想採点
優勝候補が揃った激戦区になったBグループ。
質の悪い観客に影響を受けずにネタを披露するという課題をクリア出来るかどうか。
そう考えると、おいでやす小田と粗品は有利かも知れません。
おいでやす小田
採点82
期待値が上がっているのでしょうか少し消化不良。
最初から最後まで平坦で爆発するポイントが見つけられなかったです。
前半は面白かったのですが、後半は間延びした気がします。
霜降り明星 粗品
採点85
テンポと勢いで乗りきった感じもあり、ちょっと苦しいネタもチラホラ。
それでもセンスの良さでクスクスと笑えて手数の多さでポイントを稼ぎましたね。
最後の芦田愛菜は絶対いらなかった。
ルシファー吉岡
採点75
設定がうまい。
うまいけど、そこからの展開が平坦だったので最初の笑いを乗り越えることが出来ない。
でも面白い。
でも最初の笑いが一番面白い。
ここ数年、ネタの構成が同じですが、そろそろパワーアップした姿を見せてくれないとヒューマン中村みたいになりそう。
マツモトクラブ(敗者復活)
採点80
これもまた設定がうまい。
そこからの展開も上手ですが、なぜに毎回ヒューマン的なストーリーにしたがるのか。
もっと「バカな展開」にしたマツモトクラブが見たかった。
同点の問題点
おいでやす小田と粗品が共に6票で同点になりましたが「得票者の数」で粗品が勝ち抜けとなりました。
おいでやす小田に投票したのは
- 久本雅美 2票
- 関根勤 2票
- 桂文枝 2票
の三名。
これに対して粗品に投票したのは
- 渡辺正行 2票
- 友近 2票
- 陣内智則 1票
- 桂文枝 1票
の四名ということでの決着になりましたが、このルールは正しいのでしょうか。
おいでやす小田には3人審査員が2票、すなわち一番面白かったと投票しているのに対して、粗品には2人です。
さらに桂文枝に至ってはおいでやす小田を2票で支持しているのに粗品の頭数にカウントされるのは違和感があります。
これは、そもそも3ポイント投票制の弊害であり「3ポイントを1人に投票すれば自分だけの審査で決まってしまう」という心理から発生したと言えます。
これで粗品の勝ち抜けは、ちょっとおいでやす小田が可哀想でした。
2019R-1 Cグループの感想採点
珍しくCブロックがパワーダウンした気がします。
三浦マイルドあたりが爆発してくれたらと思ったのですが、全体的に小粒でしたね。
岡野のネタは観客が悪すぎて可哀想でした。
松本リンス
採点80
カツラをフルに使ったネタですが、どう見てもアキラ100%のお盆をカツラに変えただけにしか見えませんでした。
これ二本目は大丈夫なのか。
とにかく悲鳴が気になりますがネタ的には影響少なめでした。
河邑ミク
採点65
大阪の偏見ネタ。
去年のレンタル彼女と同じで見るものを引きつけるパワーが少し不足していたかも。
鼻につくという入り方が良かっただけに伸び悩んだのは残念でした。
三浦マイルド
採点75
やっていることは優勝したときと同じで広島弁を使った偏見ネタ。
例文の使い方は面白いのですが、ネタへの入り方とオチとなる出方が雑だったかも。
もう少し丁寧にネタに入った方が活きてきたはず。
あとフリップが上手くめくれない場面が2回あったのは気になりました。
岡野陽一(敗者復活)
採点不能
ネタが入ってこない。
とにかく観客の悲鳴が気になってしまいました。
きゃー、えー。
お笑いコンテストでもっとも邪魔になる声をネタ中に出し続けられたのは可哀想でした。
ネタは独特の世界観を消化するには時間が短すぎたし、やっぱり観客が邪魔でした。
R−1最終決戦の感想採点
おいでやす小田が行きたいと泣き叫んだ最終決戦。
無名の大須賀がチャンピオンになるのか、それとも粗品の2冠達成か。
はたまた松本リンスがカツラ一本で乗り切れるのか。
爆笑させてくれるのは誰でしょうか。
セルライトスパ 大須賀
採点90
囲まれましたで一気に掴む。下敷きの使い方も完璧。
ただ一つ、黒いマスクのイジり方が少し外した感じになったのだけがマイナス。
ここが採点に影響するか。
霜降り明星 粗品
採点 80
観客の無駄な「おぉ」が邪魔でしたが、それをかき消すスピード感が今回の舞台にハマった感は大いにありましたね。
去年のR-1でも披露したムーミン(無眠)など使い回しがあったり、ところどころ弱いネタもあったりしたのは気になりましたが、M-1同様に勢いで押し切ったか。
だーりんず 松本リンス
採点70
途中で噛んだことに関して切り返すことが出来なかったのは大きかったですね。
この雰囲気のキャラ設定なら、しっかり切り返してほしかったです。
後半はやや失速。
このネタの後半こそ「えー!」とか「きゃー!」が欲しいはずなのに、なぜか沈黙する観客。
最後の最後までネタを壊す雰囲気は残念でしたね。
観客の質が悪すぎるのはR−1グランプリの悩みか
お笑いコンテストの中でもキングオブコントやM−1グランプリと異なるのが会場の空気の軽さ。
明らかに緊張感が少ないのは良くも悪くもあり、今回は悪い方に転んだと思います。
お笑いコンテストにはお笑いコンテストの見方があり、ネタを盛り上げることはあっても邪魔はしてはいけません。
今回のような悲鳴や叫び声など、観客が参加するのは完璧に間違いとなります。
それは本来、主催者側でコントロールすべきなのですが全く出来ていませんでした。
司会の雨上がり決死隊、審査員に友近や陣内智則が入るなど、重くなる要素が減っているのもまた考える必要があると思います。
今回露呈した同点の際の考え方の不備と含めて、次回への大きな課題が残ったと言えるでしょう。
ただ粗品はやっぱり面白かったです。